この記事の要約はこちら
・年収には「6つの壁」と呼ばれるラインがある。
・それぞれの壁を超えると住民税や所得税、社会保険の加入といった対象となる。
扶養とは、親族から経済的な援助を受けることを指します。扶養されている人の収入が一定額を超えた場合、扶養から外れて税金や社会保険料の負担が増えるため、家族から「なるべく扶養の範囲内で働いて欲しい」と言われた経験がある人もいるでしょう。
しかし、「配偶者の扶養から外れるとどのくらい負担が増えるの?」「メリットは全くない?」といった疑問を感じる方もいるはずです。
本記事では配偶者の扶養から外れるとどのくらいの負担が増えるのか、扶養を外れるメリット・デメリットなどを含めてわかりやすく解説します。
この記事の目次
扶養から外れると税金・保険料はいくらかかる?6つの年収別の内訳
扶養から外れる目安となるラインを、一般的に「年収の壁」と呼びます。
基本的に年収の壁は6つあります。
それぞれの壁は税金や社会保険料、給与からの天引き金額などが変わるボーダーラインとなっており、扶養から外れると以下のように税金や保険料の負担が重くなります。
| 6つの年収 | 扶養から外れた際に 増える税金・保険料の負担 |
| 100万円 | 数千円 |
| 103万円 | 数千円 |
| 106万円 | 15万円以上 |
| 130万円 | 23万円以上 |
| 150万円 | 30万円以上 |
| 201万円 | 52万円以上 |
ここからは6つの年収別に、詳細を確認していきましょう。
※制度は2024年12月27日時点の情報です。今後変更される可能性もあるためご注意ください。
100万円の壁|年間約数千円
地域により異なりますが、年収100万円では一般的に住民税が課税されます。
23区に在住の場合、100万円以上は「定額の課税(均等割)」と、「所得金額に応じた課税(所得割)」が必要です。
年収102万円なら年間約9,000円かかることになります。
計算式は以下の通りです。
【所得割】
・102万円-55万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)=4万円
・4万円×税率10%=4,000円
【均等割】
・都民税1,500円+3,500円=5,000円
103万円の壁|年間約数千円
年収103万円を超えた金額には所得税が課税されますが、住民税と合わせても年間数千円程度です。
例えば年収104万円の場合、103万円を超える1万円に対して所得税がかかります。
年収104万円の所得税率は5%で、計算式は以下の通りです。
【所得税】
・1万円×5%=500円
住民税と合わせると数千円程度、税金の負担が増えることになります。
106万円の壁|年間15万円以上
年収106万円を超えると、社会保険の加入対象となる場合があります。
2022年10月からパート・アルバイトで以下の条件に当てはまる方は社会保険適用の対象です。
【社会保険適用の対象条件】
・従業員101人以上の勤め先
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
引用:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
2024年10月には改正があり、従業員数51人以上の事業所に勤務する人も社会保険加入の対象となりました。
年収106万円の社会保険料は年間15万円前後です。
社会保険料と住民税・所得税をあわせて年間15万円以上かかります。
130万円の壁|年間23万円以上
年収が130万円を超えると扶養から外れます。
企業に所属している場合、社会保険料は月収の14%が目安です。
そのため、年収130万円以上なら社会保険料は年間約18万円となります。
住民税と所得税の合計は約5万円のため、社会保険料と合わせて年間23万円以上かかるでしょう。
こちらの記事もおすすめ
うっかり130万円超えたらどうなる?扶養についても解説
150万円の壁|年間約30万円以上
年収が150万円以上になると、配偶者特別控除が段階的に減るため、配偶者の税負担が増えます。
配偶者特別控除は控除対象者の所得によっても変動しますが、最大で38万円です。
これまでとは異なり本人だけでなく配偶者にも影響が出るようになり、年間30万円以上の出費となります。
年収151万円の場合、本人にかかる金額と配偶者の増額例は以下の通りです。
【本人にかかる金額と配偶者の増額例】
・配偶者:所得税と住民税が約4,000円分増額
・本人:社会保険料約21〜23万円、所得税・住民税約8万円
201万円の壁|年間52万円以上
年収が201万円(201万6千円)を超えると、配偶者特別控除がなくなり、年間52万円以上税金の負担が増えます。
年収202万円の場合、本人にかかる金額と配偶者の増額例は以下の通りです。
【本人にかかる金額と配偶者の増額例】
・配偶者:所得税と住民税が約8万円増額
・本人:社会保険料約31万円、所得税・住民税約13万円
扶養から外れても働き損にならないようにするにはいくら稼げばいい?
扶養から外れると所得税や社会保険料の負担が増えるため、手取りが減ります。これまでと同じ給与水準を維持しようと思えば、より多く働かなくてはなりません。言い換えると、扶養を外れて従来と同じ働き方をした場合、これまでよりも収入が減る「働き損」になってしまうということです。
働き損にならないためには、どのくらいの額面収入を得れば良いのかシミュレーションしてみましょう。
- 社会保険料:額面給与の15%
- 所得控除:基礎控除(48万円)、社会保険料控除(額面給与の15%)
- 住民税:所得割10%+均等割5,000円
上記の条件でシミュレーションした場合、働き損にならないために必要な額面給与は以下の通りです。
- 106万円の壁を越える場合→額面給与(年収)125万円
- 130万円の壁を越える場合→額面給与(年収)153万円
これらの給与を確保する見込みがある場合は、扶養を外れることを検討しても良いでしょう。
扶養を外れるメリット
配偶者の扶養から外れると経済面と保障面で恩恵を受けられます。
2つのメリットを解説します。
・扶養範囲を超えて働ける
・社会保険の保障が手厚くなる
扶養範囲を超えて働ける
扶養から外れることで、これまで縛られていた扶養範囲を超えて働けるため、世帯収入を増やせます。
収入アップにより、生活水準を上げる、余剰金を貯蓄や投資にまわすなど、選択肢が広がります。
また扶養の範囲内で働けることを優先して職場を選んでいた場合は、転職も視野に入るでしょう。
扶養を外れることで自身のキャリアアップにつながることもあります。
社会保険(年金・健康保険)の保障が手厚くなる
扶養から外れて社会保険に加入することで、年金や健康保険からの給付が手厚くなります。
例えば年金は、基礎年金部分だけの状態から、報酬比例部分(構成ね金)が上乗せされます。
10年間加入を続けることで年金が月額4,400円、20年間なら月額8,900円増えることになり、厚生年金保険料の掛け金負担を大きく上回るケースもあります。
また健康保険に加入している場合、ケガや病気などで働けなくなると、給与のおよそ2/3相当の傷病手当金が最長1年6ヶ月間支給される「傷病手当金」の給付を受けられます。
社会保険適用になることで、加入前と比べて将来への備えが増えるため、安心できるでしょう。
扶養を外れるデメリット
扶養を外れるデメリットは支払いや労働時間です。
ここでは2つ解説します。
・本人または世帯の支払いが増える
・労働時間が長くなる
本人または世帯の支払いが増える
扶養から外れることで、本人の税金や社会保険料などの支払いが増えます。
年収の壁によっては控除が減り、配偶者の税金が増えることもある点に注意しましょう。
扶養から外れる際には本人または世帯の支払いが増えることを考慮したうえで、どれくらい働くのかなどを慎重に検討することが大切です。
労働時間が長くなる
扶養を超えると、手取り額が減少するため、収入を元の水準に戻すために、労働時間を長くする必要が出てくる場合もあります。
たとえば年収130万円を超えた場合、20万円前後手取り額が減少します。時給1,000円で働いている場合、以前と同じ金額を手に入れるためには、年間で200時間多く働かなくてはなりません。
その結果、仕事以外に充てていた時間が減ってしまう可能性があります。
家事や育児など仕事以外も忙しい場合は、急な労働時間の延長により体調を崩してしまうこともあるでしょう。
扶養の枠内で働くか、フルタイムで働くかの選択は、家計全体の収入と労働時間のバランスを考慮する必要があります。
2023年10月から年収の壁・支援強化パッケージがスタート!
従来から、パートやアルバイトなどの短時間労働者が、手取り額の減少を避けるために「働き控え」をすることが、年収の壁の大きな問題点として指摘されていました。
そこで政府は2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」を打ち出し、年収の壁を超えても労働者の手取り額が減らないよう、さまざまな施策を行っています。
以下では、年収の壁に関する最新の施策について、紹介します。
なお、以下の対策は基本的に企業が国に申請しなければ認められないものです。そのため、個人が任意で利用できるものではない点は注意しましょう。
年収106万円の壁への対策
106万円の壁を越えると、労働者に社会保険料の負担が発生し、手取りが減少します。
これに対して、社会保険料分を穴埋めできるように特別手当や賃上げ、所定労働時間の延長など、手取り額が減らないような取り組みをした企業については「労働者1人あたり最大50万円」の助成を受けられる仕組みができました。
年収130万円の壁への対策
勤務先の従業員数が100人以下(2024年10月以降は50人以下)であっても、年収130万円を越えると社会保険への加入義務が発生し、労働者の手取額は減少します。
これに対しては、繁忙期の残業など一時的な労働時間延長により、年収が130万円を超えたということを事業主が証明すれば、連続2年までは引き続き扶養に入ったままでいられるという制度が設けられました。
扶養から外れるときに必要な手続き
扶養から外れる際には、社会保険と税制の手続きが必要です。
それぞれの方法を解説します。
・税制
社会保険
妻が夫の扶養から外れる場合、夫の会社へ「被扶養異動届」の提出が必要です。
夫が人事担当者などに書類を請求し、扶養上限額を超過した日時などを記入します。
扶養から外れたあとの社会保険の加入先は以下の2種類です。
妻が勤務先の社会保険に加入する場合は、事業主を通して「被保険者資格取得届」を提出します。
国民健康保険に加入する場合は「被扶養配偶者非該当届」を事業主に届け出ると同時に、夫の会社側から「資格喪失証明書」を受け取ります。
扶養から外れた日から14日以内に、資格喪失証明書などを持参して在住の市区役所で国民健康保険加入の手続きが必要です。
税制
税制上の扶養から外れる場合、配偶者の扶養控除の手続きをしなければなりません。
具体的には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に明記されている名前の削除が必要です。
配偶者の勤め先に申し出る、もしくは年末調整で手続きができます。
よくある質問
最後に扶養から外れる際についてよくある質問にお答えします。
一度扶養から外れると戻れない?
一度扶養から外れても条件を満たせば、再び扶養に入ることできます。
例えば社会保険上の扶養の条件は以下の通りです
【被扶養者の範囲】
・被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
・被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
1.被保険者の三親等以内の親族
2.被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届け出はしていないが事実上子人関係と同様の父母および子
3.2の配偶者が亡くなった後における父母および子
【収入があり被扶養者と同一世帯に属している場合】
・認定対象者の年間収入が130万円未満
・被保険者の年間収入の1/2未満
【収入があり被扶養者と同一世帯に属していない場合】
・認定対象者の年間収入が130万円未満
・被保険者からの援助による収入額より少ない場合
参考:全国健康保険協会
扶養から外れたらいくら稼げば損しない?
扶養から外れる場合、年収150万円以上稼ぐと損をしません。
130万円を少しだけ上回るくらいの年収では、社会保険加入前と比べて手取りが減る可能性があるため注意しましょう。
扶養から外れる前に、労働時間や収入を含めて慎重な検討が必要です。
年の途中で扶養から外れるのは損?
年の途中で扶養から外れても損ということはありません。
扶養に該当しなくなったタイミングで早めに手続きをとりましょう。
手続きを行わないと税務署から通知が届く場合があります。
国民年金や国民健康保険は資格喪失日までさかのぼって支払いをする、確定申告時に年末調整の修正をするなどの手続きが必要です。
まとめ
扶養から外れた場合、年収の壁に応じてかかる金額が異なります。
かかる金額が増えるとはいえ、社会保険の国民年金保険料は将来への備えです。
扶養を外れることで世帯収入も増やせるため、デメリットばかりではありません。
家族と相談しながら扶養を外れるかを検討しましょう。
迷ってしまう場合はお金のプロであるFPへの無料相談もおすすめです。
FPは家庭ごとのライフプランにそって、適切なアドバイスをしてくれます。
今なら保険相談と相談後に送られてくるアンケートへの回答で、ミスタードーナツ ギフトチケット(1500円)がもらえるキャンペーンを実施しています。
ぜひ、この機会に相談してみてはいかがでしょうか。
おすすめの保険相談サービスはこちら!


