この記事の要約はこちら
・退職後に選べる健康保険は国民健康保険・任意継続・家族の扶養の3種類で、収入や家族構成により負担額が大きく変わる。
・国民健康保険は前年所得や世帯人数で保険料が決まり、任意継続は標準報酬月額が基準となるため、人によってどちらが安いかは異なる。
・扶養家族が多い場合や、健康保険組合の付加給付を継続したい場合は任意継続が有利になることがある。
・国民健康保険は世帯に応じた軽減制度があり、退職後に所得が大きく下がる場合に安くなる可能性が高い。
・どちらを選ぶべきかは年収・家族構成・自治体の保険料・付加給付内容を比較し、保険料を試算して判断することが重要。
退職後に加入する健康保険を選ぶ際、「国民健康保険と健康保険の任意継続、どっちが安いの?」と悩む人は非常に多いものです。
任意継続の保険料は退職前の収入や家族構成、住んでいる地域によって大きく変わるため、なんとなく選んでしまうと予想以上に負担が増えてしまうこともあります。
本記事では、退職後に選べる健康保険の種類をわかりやすく整理しながら、国民健康保険と任意継続の仕組みや保険料の違いを分かりやすく解説していきます。
自分や家族の状況に合わせて比較することで、より負担の少ない保険を選べるようになりますので、ぜひ参考にしながら、自分に合った保険を検討してみてください。
この記事の目次
退職後に入る健康保険とは?
会社を退職すると、これまで加入していた健康保険から外れるため、新しくどの保険に入るかを選ぶ必要があります。
主な選択肢は、国民健康保険・健康保険任意継続制度・家族の扶養に入る方法の3つです。
自分の収入や家族構成によって負担額が大きく変わるため、早めに仕組みを理解して手続きを進めることが大切です。
・国民健康保険
・健康保険任意継続制度
・家族の健康保険(被扶養者)
国民健康保険
国民健康保険は市区町村が運営しており、自営業者や無職の人など幅広い人が加入できます。
保険料は前年の所得をもとに計算され、自治体ごとに金額が異なるのが特徴です。
扶養の仕組みがないため、人数が増えるほど保険料が上がる点には注意が必要です。
健康保険任意継続制度
任意継続制度は、退職前に加入していた会社の健康保険を最長2年間続けられる制度です。
保険料は退職時の標準報酬月額を基準に計算されるため、収入が高かった人ほど保険料も高くなる傾向にあります。
利用するには「退職後20日以内の手続き」などの条件があるため、スケジュール管理が重要です。
家族の健康保険(被扶養者)
家族が勤務先の健康保険に加入している場合、その扶養として保険に入る方法もあります。
扶養には収入制限などの条件がありますが、認められれば自分で保険料を払う必要がないため家計の負担を抑えられます。
国民健康保険と健康保険任意継続を比較
国民健康保険と任意継続は、退職後に加入できる主な健康保険です。
どちらを選ぶと負担が少なくなるかは、収入や家族構成、住んでいる地域などによって大きく異なります。
まずはそれぞれの仕組みや違いを押さえ、自分に合った保険を選べるよう比較ポイントを整理していきましょう。
加入対象者
国民健康保険は、自営業者・学生・無職の方など、幅広い人が市区町村で加入できます。
一方、任意継続は退職前に会社の健康保険に一定期間(原則2か月以上)加入していた人が対象で、退職後も同じ健康保険を最長2年間続けられます。
保険料の算出方
国民健康保険の保険料は、前年度の所得や世帯の人数などを基に市区町村が計算します。
そのため、住んでいる地域によって保険料が大きく変わることがあります。
一方、健康保険の任意継続では、退職時点の標準報酬月額に保険料率をかけて保険料を計算します。
任意継続になると会社が負担していた分も含めて保険料を全額自己負担するため、在職中の約2倍の保険料になる点には注意が必要です。
ただし、標準報酬月額には 上限が設けられているため、収入が高かった人は任意継続の方が保険料が安くなるケースもあります。
そのため、どちらが負担を抑えられるかは、以下の内容によって変わってきます。
・前年の所得
・家族の人数
・住んでいる自治体の保険料率
まずは国民健康保険と任意継続、両方の保険料を必ず比較することが大切です。
給付内容
国民健康保険では、全国共通の公的医療の給付を受けられますが、独自の付加給付はありません。
任意継続の場合、加入していた健康保険組合で実施していた付加給付(医療費の自己負担の追加補助)や健康診断の補助が継続される可能性があります。
ただし、組合によっては退職者には付加給付を適用しないところもあるため、事前の確認が欠かせません。
加入期間
国民健康保険は、条件を満たし続ける限り継続して加入できます。
任意継続は最長2年間と決まっており、その期間を過ぎたら国民健康保険などへの切り替えが必要です。
扶養家族の扱い
任意継続では、退職前と同じ健康保険制度のまま、家族も引き続き扶養にできます。
一方、国民健康保険には「扶養」という仕組みがなく、家族が増えるほど保険料も増える仕組みになっています。
そのため、扶養家族が多い人は任意継続の方が負担が抑えられることがあります。
保険料負担の軽減制度
国民健康保険には、所得が少ない世帯などを対象にした軽減・減免制度があります。
任意継続には基本的に軽減制度はありませんが、標準報酬月額の上限により保険料が一定額に抑えられる場合もあるため、家族の所得状況に応じて都度確認が必要です。
手続き期限
任意継続に加入するには、退職日の翌日から20日以内に手続きが必要です。
国民健康保険への加入は、退職日の翌日から14日以内が目安とされています。
どちらも期限を過ぎると加入できなくなる可能性があるため、早めに手続きを済ませることが大切です。
国民健康保険と健康保険任意継続はどっちが安い?
どちらが安くなるかは、人によって大きく異なります。
比較する際は、国民健康保険の保険料試算と、任意継続の標準報酬月額をもとに算出した保険料を並べて確認する必要があります。
国民健康保険は前年の所得が高いほど保険料が上がり、単身世帯はとくに負担が増えやすくなります。
一方、任意継続は退職前の給与が高いほど保険料が高くなる可能性があります。
また、家族構成も大きく影響し、国民健康保険は人数分だけ保険料が増えますが、任意継続では扶養制度がそのまま続くため、家族が多いほど割安になるケースがあります。
さらに、国民健康保険には軽減制度があるため、退職後に所得が大きく下がる見込みがある場合は、国保のほうが安くなる可能性もあります。
国民健康保険の方が安くなるケース
退職前の収入が高く、今後所得が大きく下がる見込みがある場合は、国民健康保険のほうが安くなる可能性があります。
自治体によっては所得が少ない世帯を対象とした軽減制度が用意されているため、該当すれば保険料を抑えられることもあります。
国民健康保険は前年の所得を基準に計算されるため、退職後の収入見通しに応じて早めに保険料を試算しておくことが大切です。
退職前の給与が安い場合
退職前の給与が低かった人は任意継続の方が保険料が安いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
標準報酬月額の設定方法や自治体ごとの保険料率によって、結果が変わります。
「どちらが安いか」は人によって異なるため、必ず両方の保険料を試算して比較することが重要です。
健康保険任意継続の方が安くなるケース
扶養家族が多い場合や、加入していた健康保険組合の独自給付が手厚い場合は、任意継続が有利になることがあります。
任意継続では扶養家族に保険料がかからず、家族が多いほど負担を抑えられます。
さらに、健康診断の補助や付加給付など、健康保険組合独自のサービスを継続利用できる場合は、費用面でも内容面でもメリットが大きくなります。
国民健康保険と健康保険任意継続の保険料をシミュレーション!
国民健康保険と任意継続、どちらが安くなるかは年収によって大きく変わるため、実際に試算して、その違いを確認してみましょう。
今回のシミュレーションでは、40歳未満(介護保険料なし)を前提に、国民健康保険は「年収 × 75%を所得とみなす」、任意継続は「年収 ÷ 12 を標準報酬月額とみなす」という条件で計算しました。
【国民健康保険と任意継続の保険料比較】
| 年収 | 国民健康保険の保険料 | 任意継続の保険料 |
| 100万円 | 97,380円 | 92,748円 |
| 200万円 | 201,380円 | 202,164円 |
| 300万円 | 253,380円 | 285,408円 |
| 400万円 | 331,380円 | 380,544円 |
| 500万円 | 409,380円 | 380,544円 |
| 600万円 | 487,380円 | 380,544円 |
| 700万円 | 565,380円 | 380,544円 |
| 800万円 | 643,380円 | 380,544円 |
| 900万円 | 721,380円 | 380,544円 |
| 1,000万円 | 799,380円 | 380,544円 |
※国民健康保険の保険料については、年収×75%を所得とみなし計算しています
※任意継続の保険料については年収÷12=標準報酬月額とみなし計算しています
※40歳未満(介護保険料なし)の保険料
年収100万円の場合、国民健康保険は約97,000円、任意継続は約92,000円となり、任意継続の方がやや安くなります。
しかし年収が200〜300万円になると状況が変わり、任意継続の保険料が20万円〜28万円ほどに上がるため、国民健康保険の方が安くなるケースが増えます。
一方、年収500万円を超えるあたりから任意継続の保険料は約38万円で頭打ちになるため、国民健康保険よりも任意継続の方が安くなる傾向に変わります。
例えば年収800万円の場合、国保は約64万円ですが、任意継続は約38万円のままで、差額は20万円以上になります。
このように、年収が低いほど国民健康保険と任意継続の差は小さく、年収が高くなるほど任意継続が有利になりやすい構造となっています。
ただし、住んでいる自治体によって国民健康保険の保険料は大きく変わるため、自分の自治体での正確な金額を試算することが重要です。
また、家族構成によっても負担は大きく変わります。
国民健康保険は人数が増えるほど保険料も増えますが、任意継続は扶養家族が何人いても追加の保険料がかかりません。
このため、扶養家族が多い場合は任意継続が有利になる可能性が高くなります。
さらに、短期間で再就職する見込みがある場合は、任意継続よりも家族の扶養に入った方が安く済むこともあります。
逆に、健康保険組合の付加給付や健康診断補助が手厚い場合は、任意継続を選ぶことで退職後も同じサービスを受けられるメリットがあります。
このように、どちらが安いかは「年収」「家族構成」「住んでいる自治体」「健康保険組合の内容」によって変わるため、保険料はもちろん、ライフプランや今後の働き方も考慮しながら、後悔しない選択を心がけましょう。
参考
新宿区「令和7年度 国民健康保険料 概算早見表(総所得金額等)」
全国健康保険協会「任意継続被保険者の方の健康保険料額(令和7年4月~)」
国民健康保険と健康保険任意継続はどちらを選ぶのがいい?
国民健康保険と健康保険の任意継続のどちらを選ぶべきかは、保険料の安さだけで決められるものではなく、退職後の収入や家族構成、今後の生活の見通しなど、さまざまな条件を踏まえて判断する必要があります。
まずは各制度の保険料を試算し、扶養家族の有無やこれからの収入見込み、加入していた健康保険組合の付加給付の内容などを比較することが大切です。
特に、退職後に収入が大きく下がる場合は、国民健康保険の減免制度が利用できるかどうかも確認しておくと安心です。
一方、家族をまとめて扶養に入れられる点や、健康保険組合の付加給付をそのまま使えるメリットを重視するなら、任意継続が向いている場合もあります。
ただし、任意継続は最長2年間しか利用できないため、その後の保険切り替えも視野に入れておく必要があります。
再就職のタイミングや家族の状況によっては、任意継続終了後に国民健康保険へ移る可能性もあるため、退職後だけでなく数年先の生活まで見据えて選ぶことが重要です。
このように、どちらがより適しているかは人によって大きく異なるため、十分な情報収集と試算を行い、自分のライフスタイルに合った健康保険を選ぶことが、退職後の安心につながります。
国民健康保険への切り替え方法
会社の健康保険をやめた後に国民健康保険へ加入する場合は、住んでいる市区町村で手続きを行います。
まず、退職後に届く離職票などの書類を準備し、退職日の翌日から14日以内に窓口で手続きします。
持ち物としては、離職票・身分証明書・マイナンバーが分かるもの・印鑑などが一般的なので、事前に自治体の案内を確認しておくと安心です。
手続きが終わると、その場で保険証が渡されるか、後日郵送されます。医療機関を受診する際は、この新しい保険証を使うことになります。
また、保険料の支払い方法も重要です。
多くの自治体では口座振替や納付書での支払いが基本ですが、クレジットカード納付ができる地域もあります。
保険料を滞納すると給付が制限される可能性があるため、自分に合った支払い方法を選び、無理のない納付計画を立てるようにしましょう。
健康保険任意継続の手続き方法
退職後も今までの健康保険を最長2年間使い続けたい場合は、退職日の翌日から20日以内に任意継続の申請が必要です。
手続きは、加入していた健康保険組合や協会けんぽに対して行い、案内に沿って指定の申請書類を提出します。
任意継続は、保険料を会社が負担してくれないため全額自己負担になりますが、家族を扶養に入れている場合でも追加の保険料がかからないというメリットがあります。
注意点として、保険料を1回でも滞納すると資格を失ってしまう可能性があるため、支払い忘れを防ぐために口座振替を利用するなど、確実に支払える環境を整えておくことが大切です。
手続き期限を過ぎると任意継続が利用できないため、退職前から必要書類の準備を進め、スムーズに申し込みができるように準備しておきましょう。
まとめ
ここまで、退職後に選べる健康保険の種類や、その違いについて解説してきました。
退職後の健康保険は、ご自身の経済状況や家族構成に合わせた選択が求められます。
後で後悔しないよう、保険料のシミュレーションや給付内容の確認を丁寧に行ったうえで、期限内に手続きを済ませることが大切です。
期限を過ぎてしまうと手続きができなくなり、思わぬ経済的負担が生じる可能性もあるため、退職前から情報収集と準備を行い、納得のいく保険選びを目指しましょう。
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